日本では、車の「燃費基準値」が法律で決められています。燃費基準値とは、「地球温暖化対策のため、将来的にクリアしなければいけない車の平均燃費の基準値のこと」です。また、エコカー減税の対象車となるにはこの燃費基準値をクリアしなければいけません。
ここでは、法律で定められている車の燃費基準値について詳しく説明します。エコカーの購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
燃費基準とは
地球温暖化の原因がCO2(二酸化炭素)であることは広く知られています。日本全体で排出されているCO2の量のうち約2割が車から出ています。そのため地球温暖化対策として、車から排出されるCO2の量を減らすことが重要な課題です。その対策のひとつとして、「燃費性能の改善」が積極的に行われています。
トップランナー基準とは?
日本の自動車メーカー全体で燃費性能の改善をしていくために、省エネ法(エネルギーを有効に使うための法律)で「燃費基準(トップランナー基準)」が決めれています。トップランナー基準とは、「将来的にクリアしなければいけない燃費の基準値のこと」です。この基準値は、販売されている車のなかで最も燃費性能に優れている車がベースになっています。
自動車メーカーと輸入事業者は目標年度までに、車の重量ごとの「平均燃費値」が設定された燃費基準値をクリアするために燃費性能を改善しなければいけません。この平均燃費値は低燃費車がたくさん売れるほど下がります。したがって、自動車メーカーは「燃費の改善をしながら、低燃費車を積極的に販売していく必要がある」ということです。
車ユーザーには燃費の優れた車を選んでもらう必要があります。そのため、燃費値をカタログに表示したり、積極的に宣伝したりするようになったのです。
また、低燃費車への買い替えを促進するために「エコカー減税」も導入されました。エコカー減税とは、「低燃費車を購入したユーザーの税金(自動車税、自動車重量税、自動車取得税)を軽減または免除されること」です。ですから、低燃費車を購入すれば、ガソリン代を節約できるだけではなく、税金が安くなるためメリットが多いです。
つまり、車の燃費基準を設定することは地球温暖化対策の一環であり、非常に重要なことなのです。
2020年度燃費基準値と減税対象基準値
技術の進歩するにつれて、車の燃費性能は向上し続けています。そのため、燃費基準値は5年に1度のペースで見直され、改正されます。
燃費は「車の大きさ」「重さ」「空気抵抗」などによって大きく変化します。そのため、燃費基準値は重さごとに細かく設定されています。これは重量の軽いコンパクトカーばかりが優遇されないようにするためです。ですから、重量の重いミニバンや高級車でも、燃費が向上されていれば税金の優遇が受けられるようになっています。ここでは、2020年度の燃費基準値を表でまとめます。
【表:2020年度燃費基準値と減税対象基準値】
乗用車(ガソリン車)と小型バス(乗車定員11人以上かつ車両総重量3.5t以下)の場合(単位:km/L)
車両重量区分 | 燃費基準値 | 燃費基準
+10%値 |
燃費基準
+20%値 |
741kg未満 | 24.6 | 27.1 | 29.6 |
741kg 以上 856kg 未満 | 24.5 | 27.0 | 29.4 |
856kg 以上 971kg 未満 | 23.7 | 26.1 | 28.5 |
971kg 以上 1,081kg 未満 | 23.4 | 25.8 | 28.1 |
1,081kg 以上 1,196kg 未満 | 21.8 | 24.0 | 26.2 |
1,196kg 以上 1,311kg 未満 | 20.3 | 22.4 | 24.4 |
1,311kg 以上 1,421kg 未満 | 19.0 | 20.9 | 22.8 |
1,421kg 以上 1,531kg 未満 | 17.6 | 19.4 | 21.2 |
1,531kg 以上 1,651kg 未満 | 16.5 | 18.2 | 19.8 |
1,651kg 以上 1,761kg 未満 | 15.4 | 17.0 | 18.5 |
1,761kg 以上 1,871kg 未満 | 14.4 | 15.9 | 17.3 |
1,871kg 以上 1,991kg 未満 | 13.5 | 14.9 | 16.2 |
1,991kg 以上 2,101kg 未満 | 12.7 | 14.0 | 15.3 |
2,101kg 以上 2,271kg 未満 | 11.9 | 13.1 | 14.3 |
2,271kg 以上 | 10.6 | 11.7 | 12.8 |
※車両重量:人や荷物をのせていない状態での車の重さ
※車両総重量:人や荷物をのせた状態での車の重さ
前述したように、燃費基準をクリアしている車はエコカー減税の対象車です。燃費基準値に対して10%または20%以上向上している車であれば、税金面でさらに優遇されることになります。もちろん、減税対象車かどうかはカタログなどを見ればすぐに分かります。
まとめ
2020年度燃費基準は、2015年度燃費基準の平均値に対して19.6%も向上したものになっています。これは自動車メーカーにとって、非常に高い技術力が求められる厳しい基準となっています。つまり、それだけ環境に対する基準が厳しくなっているということです。
しかし、次々と最新のエコカーの開発が進み販売されています。たとえば、燃料電池車(トヨタの「ミライ」など)も街なかで見かけることが増えてきました。また、EV(電気自動車)もよく見かけます。ですから、今後さらにエコカーの需要は伸びていくことが予想されます。
ここで説明した燃費基準値はエコカー減税と大きく関わっているため、ぜひ知識として理解しておくと良いです。