ほとんどの車に標準装備されている安全装置がエアバッグです。万が一、事故にあった場合、車内でのケガをできるだけ防ぐにはエアバッグは欠かせません。また、オプションなどでさまざまなタイプのエアバッグを装備することができ、安全性はさらに高まっています。
しかし、場合によってはエアバッグが原因でケガをしてしまうことがあります。エアバッグがあるからといって、絶対に安全とは限らないのです。
したがって、エアバッグの安全性を発揮させるためには、その使用方法と注意点について知っておく必要があります。そこでこのページでは、エアバッグの仕組みと使用する際の注意点について説明します。
エアバッグの仕組み
エアバッグとは、「風船のように膨らんだクッションで車に乗っている人を保護するための安全装置のこと」です。正式には「SRSエアバッグ」といい、これは「シートベルトを補助する装置」という意味です。つまり、シートベルトを正しく装着することで、エアバッグは安全装置として正しく機能します。
センサーで事故の衝撃を感知すると、大量の窒素ガスが急激に発生してエアバッグを膨らませます。そうすることで事故にあっても、車に乗っている人がハンドルや窓ガラスに直接ぶつかってしまうことを防ぎ、衝撃から守ってくれます。
膨らんだエアバッグはすぐにしぼみ始めます。これは衝突後にも車が動いている可能性があるため、ハンドル操作や視界を確保する必要があるからです。
さまざまなエアバッグのタイプ
乗車中の安全性をさらに高めるために、エアバッグの性能やタイプにはたくさんの種類があります。ここでは、さまざまなエアバッグの種類を紹介します。
デュアルステージエアバッグ | シートの位置や衝撃の度合いに応じて、膨らみ方が変わります。 |
サイドエアバッグ | シートのドア側に装着されていて、側面からの衝撃をやわらげます。 |
カーテンエアバッグ | ドアの上からカーテンが下りてくるように膨らみ、窓ガラスとの衝撃を防ぎます。 |
ドアマウントカーテンエアバッグ | オープンカーの場合、通常のカーテンエアバッグが搭載できない。そのため、ドアから上に向かって膨らむようになっています。 |
リアウィンドウカーテンエアバッグ | 後方の窓ガラスに備え付けられたカーテンタイプのエアバッグで、後ろからの追突により破損したガラスやボディの破片から守ります。 |
ニーエアバッグ | ダッシュボードの下に備えられていて、運転席や助手席にいる人のひざから下を保護します。 |
後席センターエアバッグ | 側面から衝撃を受けた場合、横に座っている乗員同士がぶつかることがあるため、こうした事態に備えたものです。 |
シートクッションエアバッグ | シート内部の前方に着いており、シートベルトをした状態でこのエアバッグが膨らむことで、身体が前へ飛び出していくことを防げます。 |
このように、エアバッグにはさまざまな種類のものがあり、あらゆる衝撃から身を守る効果があります。これらは、純正で標準装備されているものもあれば、オプションなど追加で装着するものもあります。
エアバッグで注意すべきポイント
エアバッグの効果を十分に発揮するためには、シートベルトの着用が大前提です。シートベルトをしていないと十分な効果が期待できないだけでなく、エアバッグがケガの原因になってしまうことがあります。
実際にエアバッグが作動してもシートベルトを着用していなければ、着用していた場合と比べて、事故での死亡率は15倍に高くなります。したがって、「エアバッグがあるから大丈夫」と思い込まずに、必ずシートベルトを着用するべきです。
さらに、エアバッグが作動した際、ケガをしないようにするための注意点は以下のとおりです。
エアバックについての注意点
- 運転姿勢がハンドルに近くなりすぎない
- ダッシュボードに手や足を乗せない
- ダッシュボードやフロントガラスに顔を近づけすぎない
- ダッシュボードの上に物を置かない
エアバッグはガスの爆発を利用して膨らむため、その勢いは時速100~300kmにも達します。そのため、上記のような姿勢や状態で走行していると、エアバッグが膨らんだ勢いで大きなケガをしてしまう可能性が高くなります。ですから、これらの注意点を守りながら運転することが大切です。
ただし、エアバッグは事故の衝撃を軽くするための装置であり、「まったくケガをしない」ということを保証するものではありません。したがって、エアバッグが膨らんだときの衝撃で、かすり傷、打撲、骨折などのケガをする場合があることは知っておきましょう。
まとめ
ここまでの説明でエアバッグの仕組みや種類について理解できたのではないでしょうか。事故の衝撃から乗員を守るために、エアバッグの性能は進歩を続けています。そのため、一昔前の車と比べれば、安全性は飛躍的に高まっています。
しかし、エアバッグがあるからといって絶対に安全というわけではありません。しっかりとシートベルトを着用し、上記の注意点を守る必要があります。そうすることで、万が一の事故の場合でも、エアバッグの効果を十分に発揮させることが可能です。そして何よりも大事なことは、日ごろから注意を払い、安全運転を心がけることです。