ノーマルタイヤで雪道や凍結している道を走行するのは非常に危険です。このようなところを走行するときは、スタッドレスタイヤを装着させるか、タイヤにチェーンをつける必要があります。しかし、「雪道や凍結路ではスタッドレスタイヤかチェーンどちらをつけるべきなのか」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
スタッドレスタイヤの場合、チェーンのように装着する手間がないため便利です。また、雪道などでの走行性能もタイヤの進化とともに高まっています。そのため、雪の積もった市街地などを走行する際は有効です。また、ゲレンデなどレジャーにいく場合も、ある程度の雪道なら走行することができます。
チェーンの場合、寒いなか外に出て、自分で装着する必要があるため、嫌がる人もいるかもしれません。しかし、チェーンのほうがスタッドレスタイヤより雪道や凍結した道での走破性が高いです。そのため、急な坂道があるような場所や、豪雪地帯にはチェーンのほうが適しています。
このように、スタッドレスタイヤとチェーンの特徴はそれぞれ異なります。そこでこのページでは、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら解説します。
雪道や凍結した道でも安心して走行できるスタットレスタイヤ
昔は、タイヤ表面にスパイク(鋲)を付けた「スパイクタイヤ」が主流でしたが、路面を削ってしまうことから使用が禁止されました。それに代わって登場したのが「スタッドレスタイヤ」です。
スタッドレスタイヤのメリット・デメリットは以下のとおりです。
スタッドレスタイヤのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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スタッドレスタイヤは低温でも硬くなりにくいため、雪道などでもグリップ力(路面に貼りつく力)を保つことができます。また、トレッドパターン(タイヤ溝の配列)が滑りやすいような路面でもしっかり捕らえることができるよう工夫されています。
年々、スタッドレスタイヤの性能は高まり、雪道でも安心した走行が可能になりました。ただし、アイスバーン(凍結路)への性能は商品によって大きく異なります。スタッドレスタイヤによってはアイスバーンで十分な性能を発揮できないものがあるため、選ぶときは注意が必要です。
スタッドレスタイヤは、雪道でもしっかり路面をとらえられるよう特殊な表面をしています。そのため、通常のタイヤに比べるとどうしてもロードノイズ(走行時の騒音)が大きくなってしまいます。
また、スタッドレスタイヤは硬くなりにくい材質が混ざっているため、すり減っていくペースは一般的なタイヤより早くなります。使用頻度にもよりますが、スタッドレスタイヤの寿命は3~4年が目安です。
スタッドレスタイヤの最大のメリットは、「着脱の手間がかからないこと」です。寒いなか路肩に車を止めてチェーンを装着している姿を見かけたことがあると思います。スタッドレスタイヤの場合、冬に備えてあらかじめ装着しておけば、このように大変な思いをしなくて済みます。
スタッドレスタイヤのサイズや種類によって価格は大きく異なります。安いもので2万円程度、高いものだと10万円以上する商品もあります。いずれも、チェーンに比べれば価格は高くなるため、必要となる頻度を見極めて購入を検討しましょう。
走破性の高さはチェーンのほうが高い
タイヤチェーンとは、「雪道や凍結路を走行するための滑り止めのこと」です。チェーンは網目状になっており、金属製のものとゴム製のものがあります。
現在では、スタッドレスタイヤのほうが一般的になっています。しかし、「めったに雪の降るところには行かない」「もしもの雪に備えたい」という人にとってはチェーンがあれば十分です。
タイヤチェーンのメリット・デメリットは以下のとおりです。
チェーンのメリット・デメリット
チェーンのタイプ | メリット | デメリット |
金属製チェーン |
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ゴム製チェーン |
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チェーンの最大のメリットは、「雪道や凍結路での走破性の高さ」です。とくに、上り坂や豪雪地帯ではスタッドレスタイヤよりチェーンのほうが適しています。チェーンの場合、普段は必要としない人でも緊急時用に準備しておくこともできます。
また、価格が安いこともチェーンのメリットのひとつです。金属製チェーンの価格は3,000円程度のものからあります。ゴム製チェーンの価格は、1万5,000円程度です。安く抑えたい人には金属製チェーンがおすすめです。
しかし、ゴム製チェーンは走行中の騒音や振動が少なく乗り心地が良いです。また、ゴム製チェーンの場合、簡単に脱着できるよう工夫されているため便利です。
スタッドレスタイヤの場合、収納スペースが問題になります。賃貸暮らしの人であれば、保管場所を確保するのはなかなか難しいのではないでしょうか。そういった場合でもチェーンであれば収納場所を用意する必要がありません。金属チェーンであれば、収納場所をほとんど必要としないため、車に積んでおくこともできます。ゴム製チェーンの場合は折りたたむことができませんが、自宅や大きな車であれば車内に保管することができます。
なお、特殊な繊維でつくられた「布チェーン」もあります。これは、「軽くてコンパクトに収納できる」というメリットがあります。しかし、耐久性が低いため、あくまでも緊急用のものと覚えておきましょう。
チェーン規制時にスタッドレスタイヤは有効か
走行する場所や時期によって、チェーン規制が行われているケースがあります。このようなときでも、スタッドレスタイヤを装着していれば通行できる場合があります。たとえば、高速道路では「チェーン規制」と表示されていても、スタッドレスタイヤであれば問題ないことがほとんどです。
ただし、スタッドレスタイヤであればチェーン規制を必ずクリアできるわけではありません。「チェーン装着車以外通行止め」の表示がある場合や、険しい山道などでチェーンがないと走行できない場合はチェーン装着を指示されることがあります。
やはり、雪道の走破性ではスタッドレスタイヤよりチェーンのほうが優れています。雪山などに行くときは、念のためチェーンを用意しておくことを忘れないようにしましょう。
まとめ
ここまでの説明で、スタッドレスタイヤとチェーンの特徴をそれぞれ理解できたと思います。
スタッドレスタイヤであれば、雪道や凍結路でも安心して走行することができます。価格はチェーンに比べて高いですが、手間などを考えればスタッドレスのほうが便利です。
ただし、豪雪地帯や雪の積もっている険しい山道などを走行する場合は、走破性の高いチェーンを装着したほうが安全です。したがって、住んでいる場所や使用目的によってどちらが適しているかは変わります。
また、場合によってはチェーンを装着していない車は通行できないことがあります。そのため、スタッドレスタイヤを装着している場合でも、緊急時用にチェーンを積んでおくのが安全です。