ETCとは、「有料道路の支払いを自動で行えるシステムのこと」です。
今ではほとんどの車にETCが付いています。
そのため車を売却する際、ETCについて以下のような疑問を持つ人もいるかと思います。
- 「ETCをそのまま付けて売ったほうがいいの?」
- 「ETCを付けたまま売却する場合、個人情報は大丈夫?」
- 「ETCを付けていたほうが高く売れるのでは?」
- 「今使っているETCを新しい車に付け替えたほうがお得なのでは?」
- 「新しい車にETCをつける場合、いくらかかるの?」
- 「車を買い替えるとき、ETCカードも新しくする必要があるの?」
このように、ETCだけでもたくさんの疑問が出てきます。
手間を考えると、ETCを付けたまま車を売却する人は多いです。
しかし、新たに購入するよりは付け替えたほうが安く済むため、ETCを取り外してから車を売却する人もいます。
ただ、付け替える場合は取り外しに手間がかかります。
また、その費用もかかるため、かえって高くついてしまうこともあります。
そこでこのページでは、「ETCを付けたまま売却する場合」と「ETCを取り外して売却する場合」を比較しながら、どちらが良いのかを検証します。
また、ETCに関する疑問にもお答えします。
車にETCを付けたまま売ると査定額は高くなるの?
最初に押さえておきたいことは、「ETCが付いているかどうかは査定額にほとんど影響しない」ということです。
なぜなら、ETCは安ければ1万円程度で新しく付けることができるからです。
そのため、売却時にETCが付いていても、査定で大きく評価されることはありません。
ですから、ETCをどうするか検討するときに、査定額は判断基準になりません。
ETCを「付けたまま売る場合」か「取り外して売る場合」どちらがお得?
車を買い替えるとき、まず新しい車にETCが付いているか確認する必要があります。
新車で購入する場合、ETCが初めから付いている車もありますし、あとからオプションで付けることもできます。
ETCはかなり普及しているため、中古車でもすでに装備されているものが多いです。
いずれにしても、新しい車にETCが付いている場合は、今の車から取り外しても無駄になってしまうため、気をつけましょう。
そこで、新しい車にETCが付いていない場合、今の車を「ETCを付けたまま売る」か「ETCを取り外して売る」どちらが得かを検証してみましょう。
ETCを付けたまま車を売る場合
この際、「付けたままだと個人情報は大丈夫?」と心配する人もいます。
しかし、ETC自体には「ナンバーなどの車に関する情報」は書き込まれていますが、「個人情報」は入っていないため、気にする必要は全くありません。
重要なのは、「新しく取り付けるETCの費用」です。
この場合、費用として「ETC本体」「取り付け工賃」「セットアップ代」がかかります。
セットアップとは、「ナンバーなどの車両情報を暗号化してETCに書き込むこと」です。
そこでETCを新しく付ける場合、「カー用品店」「ディーラー」「通販」それぞれの費用を比較してみましょう。
カー用品店 | ディーラー | 通販 |
1~3万円程度 | 2~4.5万円程度 | 1~3万円程度 |
いずれの場合もETC本体価格に大きく左右されますが、やはりディーラーは割高になります。
カー用品店では、安ければ1~1.5万円で新しくETCを付けることができます。
通販でも、セットアップ済みの安いETCが売っていますが、ディーラーやカー用品店に持ち込んで取り付けてもらう際、工賃が割高になるケースがあるため、注意が必要です。
ただ、ディーラーで新車を購入する場合、ETCの取り付け工賃をサービスしてくれることもあるため、そのときは費用をあらためて比較すれば損はないです。
ETCを取り外してから車を売る場合
ETCを取り外して新しい車に付け替えれば、ETC本体の費用はかかりません。
そのため基本的には、新しくETCを購入するよりは安く済みます。
しかし、この場合には「取り外し費用」がかかることになります。
自分で取り外すことも可能ですが、配線が切れたり、車を傷付けたりするリスクがあります。
また、複雑な作業もあるため、素人には難しいです。
ですから、ETCはカーショップなどで取り外してもらいましょう。
取り外したETCは「新しい車の販売店」で付けてもらえます。
また車購入後に、カー用品店で付けてもらうこともできます。
いずれにしても、「取り付け工賃」は費用としてかかります。
さらに、この場合は「持ち込み」になるため、工賃が割高になるケースがあります。
また、今まで使っていたETCを新らしい車の情報に書き換えなければいけないため、「セットアップ代」も必要です。
ですから、安いETCを新たに取り付けるより、かえって高く付くケースもあります。
ただ、「買ったばかりの最新のETC」を売却する車に付けていて、「そのまま売ってしまうのはもったいない」と考える人もいます。
その場合は費用に関わらず、車からETCを取り外して売却したほうが良いです。
なお、新しい車が取り外したETCに対応していないケースが稀にあります。
そのためETCを取り外す前に、新しい車に付けることができるのかを確認する必要があります。
「新しくETCを取り付ける場合」と「今までのETCを付け替える場合」の費用を比較する
それでは、それぞれの費用をわかりやすく比較します。
新しく購入する場合 | 付け替える場合 | |
ETC車載器の本体価格 | 5,000~2万円 | 0円 |
取り付け工賃 | 4,000~5,000円 | 4,000~1万円 |
セットアップ代 | 3,000円 | 3,000円 |
取り外し費用 | 0円 | 3,000~5,000円 |
合計 | 1万円(セット販売)~2万8,000円程度 | 1万円~1万8,000円程度 |
ETC本体もさまざまなタイプがあるため、選ぶものによって費用は大きく異なります。
また、付け替える場合は、持ち込み工賃が割高になるケースがあるため、結果的に費用が高くつくことがあります。
いずれにしても、安く済ませることができれば、費用はそれほど変わりません。
ですから、実際のところどちらのほうが得なのかは、見積もりを取って正確に比較しなければわかりません。
しかし、車を売却する前にこれをするのは非常に手間がかかります。
したがって、最新のETCを取り付けたばかりで「もったいない」と思う人は、ETCを取り外して車を売ると良いです。
そうでない人は、新しいETCを安く付けてることもできるため、ETCを付けたまま車を売ると良いです。
そうすれば、余計な手間もかかりません。
車を買い替えたら、ETCカードも変えるの?
車を買い替える場合、新しい車に今までのETCを付け替えたり、新しいETCを取り付けたりします。
そのとき、「ETCカードはそのまま使えるの?」と疑問に思う人もいるかと思います。
ETCカードは、たとえ車やETC本体が変わってもそのまま使用できます。
なぜなら、ETC車載器には車両情報は書き込まれていますが、ETCカードの情報は入っていないからです。
たとえば、あなたの車のETCに他の人のETCカードを差し込んだ場合でも問題なく使うことができるのは、そのためです。
したがって、ETCを新しくしたり再セットアップしたりしても、ETCカードを新しくつくる必要はありません。
ETCのセットアップとは?
セットアップとは、「その車のナンバーなどの車両情報を暗号化してETC車載器に書き込むこと」です。
セットアップは高度なセキュリティ処理が行われるため、指定されたセットアップ店のみでしかできません。
ただ、ほとんどの車販売店やカー用品店でセットアップを行うことができます。
また、ガソリンスタンドでもセットアップ店に指定されているところがあります。
ETCを「新しく取り付ける」「付け替える」どちらの場合も、新しい車の情報をETCに登録する必要があるため、セットアップ作業は必ず行います。
その際、「車検証」と「車載器管理番号」がいります。
なお、車が変わる以外にも、「住所変更でナンバーが変わった場合」「けん引装置を車に付けた場合」でもセットアップをする必要があります。
- 取扱説明書・保証書を確認する
- 前回のセットアップ申込書(控え)を確認する
- ETC本体に記載されているのを確認する
- ETCの音声・表示機能で確認する
このセットアップ作業を怠ったり、正しく行われなかったりすると、以下のような問題が生じます。
- 開閉バーが開かない
- 正しい通行料金が請求されない
- ETCサービスが利用できない
- 時間帯割引が適用されない
ETCを取り付ける際は、ディーラーやカー用品店のスタッフが必ずセットアップをしてくれます。
ですからセットアップについて心配することはありませんが、費用としては必ずかかってくるため、知識として覚えておきましょう。
ETCマイレージはどうなるの?
ETCマイレージとは、「通行料金に応じてつくポイントのこと」です。
ETCマイレージサービスを利用するためには、ETCカードの情報を登録する必要がありますが、登録・年会費は無料です。
なお、以下の場合で登録情報の変更が必要になります。
【ETCマイレージサービスの登録情報の変更】
新しい車に今までのETC車載器を付け替えた場合 | 「車両番号」を変更する |
---|---|
次の車に新しくETC車載器を付ける場合 | 「車両番号」と「車載器管理番号」を変更する |
ETCマイレージの登録情報を変更しないと、今まで貯めたポイントが消えてしまう可能性があります。
いろいろと手続きが多くなりますが、忘れずに変更をしておきましょう。
ETC2.0って何?
ETC2.0とは、「従来のETCサービスの進化版のこと」です。
このサービスは2016年度から首都圏でサービスが開始されています。
ETC2.0では、「渋滞回避」「安全運転支援」「災害時支援」などに役立つ情報を自動で受信することができます。
まだ発展途上ではありますが、「ガソリンスタンド」「ドライブスルー」「駐車場料金」など、わざわざ財布からお金を取り出さなくても精算することも可能です。
今までのカーナビでは200km分の道路交通情報しかわからなかったのが、ETC2.0では最大で1,000km分の情報を受信してカーナビに反映させることができます。
そのため、渋滞を避けてベストなルートを選ぶことができます。
さらに、その情報をもとにルートを選べば、約2割も料金が割引されるサービスもあります。
今後、ETC2.0へとサービスが移行し、普及していくことは間違いありません。
ただし、このサービスを利用するためにはETC2.0対応の車載器をつけなければいけません。
少し高くはなりますが、3万円程度で取り付けることができます。
ですから車を買い替える際にお金に余裕がある人は、ETC2.0へ切り替えを考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ここまでの説明で、車を売るときにETC車載器をどうするのか理解できたかと思います。
ここまでのポイントをまとめます。
- 車売却時、ETCを付けていてもいなくても査定額は変わらない
- 最新のETCを取り付けたばかりで「もったいない」と思う人は、ETCを取り外して車を売る
- そうでない人は、新しいETCを安く付けてることもできるため、ETCを付けたまま車を売る
- ETCカードはそのまま使える
- ETCマイレージサービスの登録情報の変更を忘れずに行う
- ETC2.0への切り替えを検討する
- カードの抜き忘れに注意する
ここでの説明を十分に理解しておくと、車を買い替える際にETC車載器を「付けたまま車を売る」か「取り外して車を売る」かを検討しやすくなるかと思います。せび参考にしてください。
なお、車を買い替えるときの費用を気にするのであれば、今乗っている車をできるだけ高く売ることを考えるべきです。
なぜなら、車をどこに売るかによって、査定額に数十万円の差が生じるからです。
しかし、どのお店が車を高く買取ってくれるのかは、なかなか自分では判断できません。
ですから、複数社の査定額をシンプルに比較するのが一番確実です。