ディーラーで車を買うときには、ディーラーローンをすすめられることが多いです。
「ディーラーの人がおすすめしてくれたから、そこでローンを組んだ」というように、良く下調べもしないでローンを組んでしまう人もいるのではないでしょうか。
ディーラーローンは、「審査にかかる時間が短い」というメリットがあります。
手続きもディーラーが代行してくれるため手間がかかりません。
しかしディーラーローンには、「金利が高い」「ローン返済中は車の所有権がない」などのデメリットがあります。
また、ローンを組むには一定の審査基準をクリアしなければいけないため、必ずローンを組めるとは限りません。
自動車ローンを組むということは「その後数年に渡って返済金を支払い続ける」ということです。
安易にローンを組んだために「結果的に支払い総額が高くなってしまった」と、後悔してしまうケースもあります。
ですから、ディーラーローンがあなたにとって合っているのかを良く検討する必要があります。
ここでは、ディーラーローンについて詳しく説明をします。
ディーラーローンの特徴をしっかりと理解することで、あなたに合っているのかを判断することができます。
ディーラーローンの審査基準は比較的低い
ディーラーローンとは、「ディーラーと提携している信販会社(販売信用を行う会社)またはクレジット会社が提供している自動車ローンのこと」です。
ちなみに販売信用とは、「消費者を信用して商品またはサービスを販売し、その代金をあとから受け取る方法のこと」です。
ディーラーローンの審査基準は、銀行などの金融機関で借り入れするときの審査基準より低いです。
とはいえ、一定のハードルがあるため、自分の条件が審査基準に当てはまるのかをチェックする必要があります。
一般的なディーラーローンの審査基準は、以下のとおりです。
【一般的なディーラーローンの審査基準】
年齢 | 20歳未満は不可 完済時期の年齢が65歳以上の場合は原則的に不可(職業や資産・収入状況によってはローンを組める場合がある) |
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年収 | 年収200万円以下の場合、審査を通ることは難しい |
雇用形態 | 正社員 契約社員 派遣社員 アルバイト・パート (上にいくほど有利) |
勤務先 | 公務員 大手企業 中小企業 自営業 (上にいくほど有利) |
勤続年数 | 勤続1年未満の場合、審査を通ることは難しい 同じ会社での勤続年数が長いほど有利 |
居住形態 | 借家より持ち家のほうが有利 居住年数が長いほど有利 |
他社での借り入れ | 4件以上ローンや借金がある場合、審査を通ることは難しい 新たに申し込むローンを含め、年間返済額の合計が年収の3分の1以下であること(住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローン、クレジットカードの分割・リボ払いなど) |
信用情報 | 以下の情報が信用情報に書かれている場合、審査を通ることは難しい 債務整理(任意整理、特定調停、民事再生、個人再生、破産など)延滞(3回以上) 長期の延滞(2、3ヶ月以上) 事故情報 |
ローン審査では、「一定の継続した収入がある」「信用情報に問題がない」ということが最も重要です。
その理由は、ディーラーや信販会社としても「返済ができなくなった」というリスクを避けたいからです。
しかし審査通過が厳しい場合でも、「連帯保証人を付ける」「頭金を増やす」「車種やグレードを変更する」など、ディーラーから審査に通るための提案をしてくれることがあります。
なぜならローンを組んでもらえたほうが、ディーラーや信販会社としては手数料などで儲けることができるからです。
信用情報とは
信用情報とは、「ローンやクレジットカードの利用履歴のこと」です。
信用情報には、契約内容や返済状況など、あらゆる情報が書かれています。
信用情報は、ローン審査を行ううえで重要なポイントになります。
本人であれば、信用情報機関から情報開示(自分の信用情報を確認すること)をすることができるため、あらかじめ調べておくと良いです。
たとえば信用情報機関のうちのひとつである「CIC」の場合、「インターネット開示」や「郵送開示」などがあり、1,000円程度の手数料で情報を得ることができます。
ディーラーローンのメリット
ディーラーローンのメリットは以下の5つがあります。
- 銀行などの自動車ローンに比べて審査が通りやすい
- 審査が早い
- 申し込みが簡単
- 土日や祝日も対応してれる
- 値引きをしてくれる場合がある
それぞれのメリットについて詳しく説明します。
銀行などの自動車ローンに比べて審査が通りやすい
ディーラーローンを完済するまでは、車の所有権がディーラーもしくは信販会社にあります。
返済が滞ったり、支払いができなくなったりした場合、ディーラーや信販会社は車を引き上げ、中古車として売って利益を得ることができるようにするためです。
つまり、ディーラーまたは信販会社としてはローン返済へのリスクを減らせることになります。
その代わり、ディーラーローンは審査が通りやすくなっているのです。
審査が早い
前述のとおり、ディーラーローンの審査はハードルが比較的低いです。
そのため、審査結果も早ければ30分~1時間ほどと短時間で済ませることができます。
一方、銀行などの自動車ローンでの審査結果が出るまでには1~3日以上はかかります。
申し込みが簡単
ディーラーでは、購入するときの契約と同時にローンの申し込みできるため、手続きにかかる時間を省くことができます。
また、申込み書類の用意やローン会社とのやり取りは全てディーラーが行ってくれるため、手間をかけずに契約ができます。
銀行などの自動車ローンを組む場合は、書類のやり取りは全て自分で行わなければいけないため、ローンの手続きに手間と時間がかかります。
土日や祝日も対応してれる
ほとんどのディーラーは土日営業しているため、休日でも審査・手続きをすることができます。
しかし銀行などでローンを組む際、金融機関の営業時間(平日の15時ごろまで)に窓口に出向く必要がある場合があります。
そのため、フルタイムで勤めている人にとっては都合が付きにくいというデメリットがあります。
ただし、店舗に出向く必要がない銀行カーローンもあります。
値引きをしてくれる場合がある
ディーラーや信販会社は利息や手数料によって利益を得るために、「ディーラーローンを組んでもらいたい」と考えます。
そのため、車の購入者にディーラーローンを契約してもらうために「車体価格の値引き」や、下取する車がある場合「下取り額のアップ」などの交渉に応じてくれやすくなります。
ディーラーローンのデメリット
ディーラーローンを組むときのメリットが多いように思えますが、デメリットを踏まえて慎重に検討する必要があります。
ディーラーローンのデメリットは以下の4つがあります。
- 金利が高い
- 返済期間が短い
- 登録に必要な諸経費は先に現金払い
- 完済しないと車の所有権がない
それぞれのデメリットについて詳しく説明します。
金利が高い
ディーラーローンは、銀行などの自動車ローンに比べて審査が通りやすいというメリットがあります。
しかし、返済におけるリスク(延滞など)は高くなるため、そのリスクに対する保証料という形で金利を高めに設定していることが多いです。
具体的に「ディーラーローン」と「銀行などの自動車ローン」の金利が違うことで、どれだけ返済額が変わってくるのかを比較してみましょう。
たとえば、車を購入するために200万円のローンを組むとします。
銀行などの自動車ローン | ディーラーローン | 差額 | |
借入額 | 2,000,000円 | 2,000,000円 | |
金利(目安) | 3% | 7% | |
返済期間 | 5年(60ヶ月) | 5年(60ヶ月) | |
返済月額平均 | 35,894円 | 39,285円 | +3,391円 |
利息の合計額 | 152,480円 | 355,807円 | +203,327円 |
返済総額 | 2,152,480円 | 2,355,807円 | +203,327円 |
このように、同じ金額・同じ期間でローンを組んだ場合でも、金利が違えば返済総額に大きな差が生じます。
そのためローンを選ぶ際は、「金利」「毎月の返済額」「返済総額」を必ず確認をし、比較することが重要です。
ただ、上記の表の金利はあくまでも目安です。
時期によって「低金利キャンペーン」などで金利が下がることがあるため、チェックをしておくと良いです。
返済期間が短い
ディーラーは利益を得るために、「早めに車を買い替えてもらいたい」と考えます。
そのため、ディーラーローンの返済期間は2~5年が主流で、7年以上の返済期間を設けているところはほとんどありません。
一方、銀行などの金融機関では、8~10年の長期返済が可能な自動車ローンがあります。
したがって、「月々の返済額を抑えて、無理なく長期でローンを返していきたい」という人にとってはディーラーローンはおすすめできません。
登録に必要な諸経費は先に現金払い
車を購入する際に必要な諸経費には以下のものがあります。
- 自動車税(車の所有者・使用者が毎年納める税金)
- 重量税(ほとんどの場合、車検のときに支払う)
- 取得税(50万円を超える車を購入・取得するときにかかる税金)
- 消費税(車本体、オプションなど法定費用以外にはすべてかかる)
- 自賠責保険料(車を使用する際に加入することが義務付けられている)
- 検査登録費用(ナンバー取得、代行手数料など)
- リサイクル料金(解体やエアバック処理にかかる費用)
- 車庫証明手数料(駐車場の申請をディーラーに代行してもうための費用)
金融機関での自動車ローンの場合、これらの費用を含めてローンを組むことができます。
しかし、ディーラーローンでは「車本体価格とオプションなどの付属品のみの金額」しかローンを組むことができません。
したがって、これらの諸経費(20~30万円程度)は現金で先に支払う必要があります。
しかし、ディーラーで下取する車がある場合は、その下取額を諸経費に充てることができます。
完済しないと車の所有権がない
ローン返済中は、車の所有権がディーラーもしくは信販会社にあります。
つまり車を使っていても、正確には「自分のもの」ではありません。
もしローン返済中に車を売りたくなった場合でも、自分の所有物ではないため車を勝手に売却することはできません。
しかし、銀行などのマイカーローンでは、車の所有権はあなたにあるため、車を好きに扱うことができます。
まとめ
ここまでの説明で、ディーラーローンのメリット・デメリットを理解できたのではないでしょうか。
ディーラーローンでは、その販売店によってローンの仕組み、金利、手数料などが異なります。
金利に関しては、決算期の3月と9月にディーラーキャンペーンとして金利を引き下げることが多いです。
また、モデルチェンジ前は在庫を売り切るために、モデルチェンジ後は新型車の販売促進のために金利を下げます。
ですから、どこでローンを組むかを検討する際は、まず情報収集することが重要です。
さらに、購入後の「ガソリン代」「任意保険料」「税金」「車検費用」「駐車場代」などの維持費を含めて、収入とのバランスを考えなければいけません。
つまり、「あなたのライフスタイルにあった返済計画を立てること」が、ローンを組むときには何よりも重要です。