ハイブリッド車が燃費に優れていることはよく知られていますが、ガソリン車と比べてどれほど良いのでしょうか。
同じ車種でもハイブリッド車とガソリン車の燃費を比べると、30~70%も燃費は向上します。たとえば、ホンダのフィットの場合、ガソリン車での燃費は15km/L程度ですが、バイブリッド車では23km/L程度まで伸びます。
このように、ハイブリッド車はガソリン車に比べて遙かに優れた燃費性能があります。ただし、ハイブリッド車でも乗り方次第では燃費を下げてしまいます。そのため、ハイブリッド車の燃費性能を十分に発揮させるためには、その特性を理解することが大切です。
そこでこのページでは、ハイブリッド車の燃費が優れる理由とその燃費性能を高めるための上手な運転方法について説明します。
なぜハイブリッド車は燃費が良いの?
ハイブリッド車は、「ガソリンエンジン」と「電気で動くモーター」の2つを動力として利用しています。モーターがエンジンの補助をしたり、またモーターだけで走行したりすることでガソリンの消費を減らします。そうすることで、ハイブリッド車の燃費は向上するのです。
日本では、何度も発進・停止を繰り返したり渋滞したりするなど特有の交通事情があります。従来のガソリン車は止まってたりノロノロ進んだりしている場合でも、エンジンを常に回しているためガソリンを消費します。これに対し、ハイブリッド車は渋滞にはまっても、エンジンを止めてモーターだけで走ることできるため燃費が悪化しないのです。
もちろん、ハイブリッド車でもバッテリーの充電量が減れば、エンジンを回してバッテリーを充電しながら走行しなければいけません。ただ、よほどの渋滞でなければエンジンに頼ることなく走行を続けることができます。つまり、ハイブリッドシステムは日本の交通事情に適しているのです。
夏場にエアコンを使うときでも、ガソリン車はエンジンを回し続ける必要があります。たとえば、軽自動車がアイドリング中に、急にエンジンの回転数を上げることがあります。あれは、エアコンの温度を保つためにエンジンの回転が必要になったためです。
しかしハイブリッド車の場合、電力によりエアコンを作動させているため、エンジンが止まっている状態でも問題ありません。このような場面でも、ハイブリッド車はガソリンの消費を抑えて燃費を向上させることができます。
ただし、高速道路など発進・停止が少ないところでは、ハイブリッド車の強みは発揮されにくくなります。なぜなら、ハイブリッド車はブレーキをかけるときのエネルギーを回収して電力を貯めるからです。つまり、止まることが少ない高速道路では電力をつくり続けることができないため、どうしてもエンジンの動力を利用することになるのです。とはいえ、ハイブリッド車はあらゆる状況でも安定した燃費の良さがあります。
ガソリン車とハイブリッド車の燃費の違い
同じ車種でも、ガソリン車とハイブリッド車の両方のグレードを用意している場合があります。そのようなケースでは、ハイブリッド車のほうが3割ほど燃費に優れています。
【ガソリン車とハイブリッド車の燃費の違い】
ガソリン車の燃費「15km/L」 ⇒ 同じ車種のハイブリッドタイプの燃費「20km/L」
車種によっては、ハイブリッドタイプのほうが5~7割も燃費が向上するものがあります。
また、ハイブリッド車の安定した燃費の良さがあります。それに対してガソリン車は、走行条件によって燃費が大きく左右されます。そのため、ハイブリッド車の燃費とガソリン車の燃費の差がさらに広がることもあります。
ちなみに、「カタログに表示されている燃費は決められた測定方法で出した数値」ということを知っておきましょう。ガソリン車とバイブリッド車のどちらでも、実際の走行では想定外のことが多いため、カタログ燃費より悪くなってしまいます。
ハイブリッド車であれば、実際の燃費はカタログ燃費の7割ほどです。ガソリン車の場合は、乗り方次第ではカタログ燃費の半分近くになってしまうことがあります。
【カタログ燃費と実際の燃費の違い】
- カタログ燃費30km/Lのハイブリッド車 ⇒ 実際の燃費は20km/L前後
- カタログ燃費24km/Lのガソリン車 ⇒ 実際の燃費は15km/L前後
ハイブリッド車を上手に運転するコツ
ハイブリッド車は、あらゆる交通環境で燃費の良さを発揮してくれます。それは、ガソリンエンジンとモーターを状況によって使い分けることで、可能なかぎりガソリンの消費を抑えることができるからです。しかしハイブリッド車とはいえ、急加速や上り坂での加速など、運転の仕方によっては燃費を低下させることになります。
そこで、ハイブリッド車を上手に運転するコツを2つ紹介します。
燃費を良くするハイブリッド車の運転のコツ
発進時、進行方向の状況を考えて早く必要速度まで達する
加速時はエンジンを使いますが、一定の速度まで達すれば早い段階でモーターに切り替えられます。こうすることで、エンジンの負担を減らし、燃費を良くすることができます。
弱い減速状態をなるべく長く続ける
ハイブリッド車はブレーキを踏み減速するときのエネルギーを回収し、電力としてバッテリーに充電します。そこで、減速するときは早めに弱いブレーキをかけ、できるだけ続けることでより多くの電力をつくり出すことが可能です。そうすることで、モーターで走れる距離を伸ばすことができ、燃費向上につながります。
車種によっては、走行中の燃費を診断し運転席のモニターに表示してくれる「コーチング機能」がついています。この機能を利用すれば、ゲーム感覚で自然と燃費が向上する運転の仕方が身につきます。運転が楽しくなり、さらにガソリン代の節約にもなる一石二鳥のシステムです。
スマートに運転したいハイブリッドカー
ここまでの説明で、ハイブリッド車の燃費性能について理解できたと思います。ハイブリッド車には好燃費を実現するためのシステムが備わっているため、気をつけながら運転しなくてもガソリン車より燃費は良くなります。
ただ、上記で説明した運転のコツやコーチング機能を利用することで、さらに燃費を向上させることが可能です。せっかくエコな車に乗るのですから、好燃費を楽しむ感覚でスマートに運転をしたいものです。