カー用品店やタイヤショップには、特徴の異なるタイヤがたくさん並んでいます。タイヤ交換を検討する際、新しいタイヤをどれにしようか迷う人もいるかと思います。
タイヤ選びでは自分の車にあったサイズのタイヤでなければいけないため、サイズなどの規格表示を確認する必要があります。また、タイヤの構造はさまざまで、「燃費が良くなるタイヤ」「走行性能が高いタイヤ」「乗り心地を重視したタイヤ」などタイプが分かれています。そのため、「自分が求めているタイヤ性能」や「車のタイプに合っているタイヤ」を見極めることが重要です。
ですから、タイヤ選びをするときはショップスタッフに相談するべきです。ただし、ある程度自分で判断できる知識がなければ、なぜそのタイヤを勧められたのかよく分からずに買ってしまうことになります。
したがって、タイヤを新しく買い替えるときには、ある程度のタイヤの基礎知識を知っておく必要があります。ここでは、タイヤの基礎知識について説明します。
目次
ラジアルタイヤとバイアスタイヤ
タイヤの役割は、「走ったり止まったりする力を路面に伝えること」です。また、車の常量を支え、クッションとして乗り心地を高めるためにもタイヤは役立っています。
タイヤはさまざまな性質のゴムが何層にもなって構成されています。そのなかでもタイヤの骨格となるのが「カーカスコード」と呼ばれるものです。カーカスコードは、「ナイロンやポリエステル、スチールなどの繊維をゴムでくるんだものを何層にも重ねられたもの」です。
このカーカスコードの重ね方でタイヤは、「ラジアルタイヤ」と「バイアスタイヤ」に分けられます。
ラジアルタイヤは、「カーカスコードが進行方向に対して90度に配置されたタイヤ」で、走行性能の高さが特徴です。バイアスタイヤは、「カーカスコードが進行方向に対して45度の角度で交互に重ねられたタイヤ」で、乗り心地の良さが特徴です。
しかし、現在ではサスペンションにより乗り心地が十分に高められています。そのため、走行性能が高いラジアルタイヤが主流になっています。
タイヤの種類 | 特徴 |
ラジアルタイヤ | 走行性能が高い |
バイアスタイヤ | 乗り心地が良い |
チューブタイヤとチューブレスタイヤ
チューブタイヤとは、「一般的な自転車のタイヤのように内部にチューブを入れて空気を保持するタイヤのこと」です。しかし、現在ではチューブタイヤを使っている車は少なく、タイヤ全体で空気を保持する「チューブレスタイヤ」がほとんどです。
チューブレスタイヤの内側には、インナーライナーという空気を通しにくい層があります。そのため、チューブレスタイヤは釘などが刺さっても、一気に空気が抜けてしまわないような構造になっています。
トレッドパターンの重要性
トレッドとは、「タイヤ構造のうち、地面に触れる部分のこと」です。つまり、タイヤの一番外側のゴムの部分をトレッドと呼びます。
トレッドパターンとは、「タイヤのトレッドに刻まれた溝が描く模様のこと」です。トラックなどのタイヤには、縦溝だけのものや横溝だけのもといった非常にシンプルなトレッドパターンが採用されています。しかし、一般的な乗用車のタイヤでは、「多数の溝で独立したブロックを構成するブロック型」が採用されていることが多いです。
トレッドパターンの溝は、走行中にタイヤが踏んだ水を排水するためのものです。この溝が浅くなると「ハイドロプレーニング現象」を起こしてしまう可能性があるため大変危険です。ハイドロプレーニング現象とは、「走行中にタイヤが水に乗ってしまい、タイヤのグリップ力(タイヤが地面に張りつく力)を失うこと」です。一般的なタイヤでは、溝の深さが1.6mmになったら十分な排水能力がなくなってしまうため交換が必要です。
トレッドパターンは排水するためだけではなく、グリップ力にも影響を与えます。また、ロードノイズ(走行中にタイヤから生じる騒音)にも影響を及ぼします。したがって、タイヤ選びをするときには、トレッドパターンによる特徴の違いに注目するようにしましょう。
タイヤの溝が浅くなると、グリップ力が弱まり走行が危険になります。また、トレッドパターンはロードノイズにも影響するため、タイヤ選びをするときに注目すべきポイントです。
エコノミータイヤやスポーツタイヤなどのバリエーション
タイヤにはさまざまなラインナップがあります。燃費が良くなる「エコノミータイヤ」や、走行性能が高い「スポーツタイヤ」、ロードノイズを抑え乗り心地を重視した「ラグジュアリータイヤ」などがあります。騒音を抑えることを最優先させた「低騒音タイヤ」といった商品もあります。
エコノミータイヤでは、硬めのゴムを使用しています。そのため路面との摩擦が減り、燃費が良くなります。しかし、このようなタイプのタイヤは、ロードノイズが大きくなりやすいというデメリットがあります。
逆にスポーツタイヤは柔らかめのゴムを使用しています。そのためグリップ力が高まり、ブレーキ時に短い距離で止まれたり、高速でコーナーを曲がっても横滑りすることが少なくなったりします。しかし、このようなタイプのタイヤは、燃費が悪く、摩耗しやすいため寿命が短いというデメリットがあります。
エコノミータイヤとスポーツタイヤの中間的や役割を果たすのが「コンフォートタイヤ」で、いわゆる普通のタイヤのことです。ただし、タイヤの構造やゴムの質などの改善が進み、さまざまな性能を両立できるよう工夫されたタイヤもあります。
タイヤの種類 | 特徴 |
エコノミータイヤ |
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スポーツタイヤ |
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ラグジュアリータイヤ |
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低騒音タイヤ |
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コンフォートタイヤ |
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※タイヤ技術の進歩により、それぞれの特徴を兼ね合わせたタイヤもあります。
乗り心地や走行性能に影響を与えるタイヤの偏平率
偏平率とは、「タイヤの幅に対する断面の高さのこと」です。一般的な乗用車では、偏平率が70%から40%のタイヤが使われています。偏平率が60%以下のものを「ロープロファイルタイヤ」と呼びます。
タイヤの偏平率が高いほど、断面の形状が丸みを帯びていきます。したがって、タイヤの幅が同じ場合でも、偏平率の低いタイヤほど地面と接する面積が増えるためグリップ力が大きくなります。
また、偏平率が低いタイヤの場合、コーナーを曲がるときでも地面と接する面積が減りにくいため、安定した走行になります。しかし、偏平率の高いタイヤの場合は、コーナーを曲がる際にタイヤが変形しやすいため、安定感に欠けるのです。
したがって、偏平率の低いタイヤほど走行性能が高くなります。しかし、低偏平率のタイヤほど振動を吸収する能力が低下するため、乗り心地は悪くなってしまいます。そのため、「走行性能を重視する」か「乗り心地を重視する」かによって選ぶタイヤは異なります。自分にあったタイヤを探すときには、偏平率を必ずチェックしましょう。
タイヤの偏平率 | 特徴 |
通常のタイヤ(高偏平率タイヤ) |
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スポーツタイヤなど(低偏平率タイヤ) |
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タイヤサイズなどの規格の表示方法
タイヤの規格は以下のように表記されるのが一般的です。
(例)205 / 65R 15 96V
表記 | 意味 |
205 | タイヤの横幅(mm) |
65 | タイヤの偏平率(%) |
R | ラジアルタイヤを表す記号 |
15 | ホイールの直径(リム径)をインチで表したもの |
96 | ロードインデックス(荷重指数)どの程度の重さに耐えられるかを示したもの |
V | 速度記号 許容される最高速度を示したもの
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ここで説明したタイヤの規格の読み方を理解すれば、表示を見ただけである程度どのようなタイヤかを判断することが可能です。
まとめ
ここまでの説明で、タイヤ選びをするときにどこに注目すべきかが理解できたのではないでしょうか。
タイヤ選びをする際は、まずタイヤサイズの規格表示を確認しましょう。その上で、あなたの愛車に合うサイズのタイヤを探しましょう。さらに、「トレッドパターン」「タイヤのタイプ」「偏平率」などの特徴を確認しすることが重要です。そうすることで、あなたの目的にあった性能のタイヤを選ぶことができます。
ただし、高性能のタイヤになればなるほど価格は高くなり、その差が10万円以上になることもあります。そのため、タイヤの寿命も含めて慎重に検討する必要があります。
タイヤ選びは車を安全に、そして快適に走行するためには非常に重要なことです。ここでの知識をしっかりと理解したうえで、専門知識をもったショップスタッフに相談しながらタイヤ選びをすることをおすすめします。