ガソリンスタンドで給油するとき、「軽油とガソリンでは何が違うのか」「間違えて給油してしまった場合、車は故障するのか」などと疑問に思ったことはないでしょうか。また、「ハイオク」とはどういったガソリンのことをいうのでしょうか。
軽油とガソリンはどちらも石油からつくられた燃料です。ガソリンには「燃えやすい」という性質があります。また、軽油には「自然に着火しやすい」という性質があります。
車の燃料には「軽油」「ガソリン」「ハイオク」の3つがあり、ガソリンスタンドでもそれぞれ給油できるようになっています。しかし、車によって適している燃料が異なるため、間違えて給油してしまうと故障の原因になる可能性があります。
そこでこのページでは、「軽油とガソリンの違い」や「間違えて給油しまったときの対処法」について説明します。
目次
軽油とガソリンの違いとは?
ガソリンも軽油も、石油から精製されてつくられた燃料です。どちらも単独の成分で成り立っているわけではなく、炭水化物の化合物など、さまざまなものが混ざり合っています。
石油は、精製したり分離したりすることで目的に合ったものにすることができます。ここでは、軽油とガソリンの性質についてそれぞれ説明します。
ガソリンとは
ガソリンは比重が軽くて沸点が低い燃料です。また、「燃えやすい」という性質があります。ただガソリンは引火しやすいですが、きっかけとなる火がなければ燃えにくいです。したがって、ガソリンは気化しやすいことから、スパークプラグ(電気により火花を起こす装置)で着火するエンジンとの相性が良いです。
ガソリンの成分
ガソリンは、ベンゼン、アルケン、トルエン、キシレンなどの代表的な成分のほかにも、200~300種類の成分が含まれています。また、ガソリンには、バイオエタノールを原料とした添加剤が含まれています。これは、ガソリンのオクタン価(燃えにくさ)を高め、より爆発力を高める効果があります。これらの成分は植物由来であるため、二酸化炭素の排出を抑える効果もあります。
そのほか、ガソリンには洗浄剤や防錆剤などの添加剤も混ぜられています。これらの成分は、ガソリンの品質を安定させたり、長期的に車の性能を維持したりすることに役立っています。
ハイオクとは
ハイオクとは、「高オクタン価ガソリンのこと」です。通常、ガソリンは圧力をかけすぎると勝手に爆発してもえてしまう性質があります。しかし、オクタン価(燃えにくさ)が高いハイオクの場合、それだけ自然に着火しにくいということになります。
ハイオクはこの特性があることで、ノッキング(エンジンの不自然な振動や異常音)を起こりにくくすることができます。また、強く圧縮しても自然に着火するのを防ぐことができるため、着火したときの爆発力が強くなるのです。
したがって、高い出力が求められるスポーツカーなどのエンジンは、ハイオクを使用することで、性能を最大限に発揮することができるのです。
軽油とは
軽油は、ガソリンより燃えにくいです。しかし、高温なところではガソリンより「自然に燃えやすい」という性質があります。そのため、軽油は「空気を大きく圧縮して高温にするディーゼルエンジン」との相性が良いです。
ちなみに、通常の軽油は氷点が高いため、寒冷地ではガソリンと違って凍ってしまうことがあります。そのため、寒冷地で売られている軽油は氷点の低いものになります。
軽油の成分
軽油の主成分はアルカンです。軽油は「セタン価(着火のしやすさ)」の高い燃料です。セタン価の高い軽油は一気に燃焼するため、エンジンの駆動力は高まります。しかし軽油の場合、「燃焼温度が高くなるため排気ガス中の炭素酸化物が増える」「酸素不足になるとPM(粒子状物質)が発生しやすくなる」という難点があります。
間違えて給油してしまったときの対処法
ガソリンスタンドには、「レギュラー」「ハイオク」「軽油」の3種類の燃料があります。違いがよく分かっていなかったり、間違えてしまったりして別の燃料を給油してしまったことはないでしょうか。そのような場合、どうなってしまうのでしょうか。また、間違えて入れてしまったときはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、それぞれのケースごとに説明します。
ガソリン車に軽油をいれてしまった場合
ガソリン車に軽油をいれても、すぐにトラブルが生じることはありません。なぜなら、給油するときは燃料が少し残った状態で行うことがほとんどだからです。
車を走らせているうちにガソリンの割合が少なくなってくると、「チリチリという異常音する」「振動がおこる」「マフラーから黒煙が出る」などの不具合が生じます。この状態で放置すると、エンジンにダメージを与え、故障につながる可能性が高いです。
軽油(ディーゼル)車にガソリンをいれてしまった場合
この場合も、振動や異常音、白煙などの不具合が生じます。このケースでは、「ガソリン車に軽油を入れる」よりエンジンの損傷が激しくなることがあります。エンジンが故障してしまうと、修理費に数十万円かかってしまうこともあるため十分に注意する必要があります。
レギュラーガソリンとハイオクガソリンを間違えていれてしまった場合
レギュラーガソリンとハイオクガソリンは、ガソリンと軽油ほどの違いはありません。そのため、間違えていれてしまった場合でも、トラブルにならないことがほとんどです。
スポーツカーなどの高性能エンジンを搭載している車は、ハイオク仕様になっている場合があります。このような車にレギュラーガソリンを間違えていれてしまうと、車本来の走行性能を発揮することができなくなります。
また、ハイオク仕様の車にレギュラーガソリンを入れてしまうと、メーカー保証の対象外となるケースがあるため注意しましょう。
まとめ
ここまでの説明で、軽油とガソリンの違いについて理解できたと思います。
ハイオクを含め、燃料の性質はそれぞれ異なります。また、車によって適している燃料も異なります。もし間違えて異なるタイプの燃料を給油してしまった場合は、故障の原因になるため早急に対処する必要があります。ですから、間違った種類の燃料を給油してしまった場合は安易に考てはいけません。
したがってガソリンの特性きちんと理解し、車の仕様に合った燃料を使用することが安全のためには重要です。さらに、車の走行性能を十分に発揮することができ、車の寿命を長持ちさせることにもつながります。