タイヤのトラブルは、いつどこで起こるかわかりません。そんなとき、自分で積んであるスペアタイヤに交換することができるでしょうか。
もちろんJAF(日本自動車連盟)などのロードサービスに電話して、助けてもらうこともできます。しかし、ロードサービスがすぐに駆けつけてくれるとは限りません。ですからドライバーなら、トラブルに備えて適切なタイヤ交換の方法を知っておくことが重要です。そうすれば、雪の日に、スタッドレスタイヤへの交換が必要になった場合でも、すぐに自分で行うことができるようになるため便利です。
安全に作業をするためのポイントを理解できれば、タイヤ交換は難しいことではありません。安全で安心なドライブを楽しむために、正しいタイヤ交換の基礎知識を身につけておきましょう。
ここでは、タイヤ交換の方法について詳しく説明します。
目次
タイヤ交換する前の安全確認
パンクなどのトラブルが起こった場合、まずはタイヤを交換するための安全な場所を見つけます。見通しの悪い場所や高速道路など、追突の危険性を避けるためです。また、作業中にタイヤが転がったり、車が動き出したりしないようにするため、平らな場所であることも重要です。
安全な場所を見つけて停車したら、「ハザード灯」や「三角表示板」などを使って周囲の車にトラブルを知らせます。そうすれば、作業中の安全を確保することができます。ただし、作業を行うための場所を確保できない場合は、JAFなどのロードサービスを呼んで対処するべきです。
タイヤ交換に必要な工具
タイヤを交換するのに必要なものは、以下の7つがあります。
1.スペアタイヤ | トランクルームの床下などに入っている緊急時用のタイヤです。 |
2.軍手 | 作業時のケガや汚れを防ぐために必要です。すべり止め加工がされたタイプが良いです。 |
3.ジャッキ | 車体を持ち上げるための工具です。 |
4.ジャッキ用補助工具 | ジャッキを伸縮させるための工具です。 |
5.L型ボックスレンチ | ホイールナット(タイヤを止めているネジ)の着脱に使います。 |
6.クロスレンチ | ホイールナットの着脱をする際にあると便利です。 |
7.タイヤ止め | ジャッキアップ時に車体が動いてしまうのを防ぐためのものです。 |
これらの工具は、トランクルームの床下や運転席の下などに入っています。車種によって置き場所は異なりますが、一度どこにあるのかを確認しておきましょう。
また、タイヤ交換に必要な工具がすべて車に積んであるとは限りません。あらかじめ必要なものがあるのか確認し、なければ購入して揃えておくことが重要です。
タイヤ交換の手順
タイヤ交換を安全に行うためには、正しい手順で作業を進めなければいけません。タイヤ交換の手順は以下のとおりです。
タイヤ交換の手順
- タイヤ止めをセットする
- ジャッキをセットし、少しだけジャッキアップする
- ホイールナットを緩める
- ジャッキアップしてタイヤを外す
- 正しくスペアタイヤを装着し、ナットを軽く締める
- ジャッキを下ろして、ナットを完全に締める
ここからは、それぞれの手順について詳しく説明します。
タイヤ止めをセットする
上記で説明したとおり、車を安全で平らな場所へ止めたら、ハザード灯や三角表示板を使います。停車させるときは、シフトレバーを必ずP(パーキング)にします。それから、サイドブレーキをしっかりかけ、エンジンを切りましょう。
タイヤ止めは、交換するタイヤの対角にあるタイヤにセットします。ジャッキアップをすると車体は不安定な状態になります。そのとき車が動いて、ジャッキが外れないようにするためにタイヤ止めが必要なのです。
ジャッキをセットし、少しだけジャッキアップする
ジャッキアップとは、「ジャッキを使って車体を持ち上げること」です。ジャッキアップポイント(ジャッキアップ用に補強された部分で、車体下の両脇にある)を確認し、ジャッキをセットします。
この段階では、タイヤが地面から離れない程度の高さまで軽くジャッキアップします。これは、ナットを外す際にタイヤが空回りするのを防ぐためです。
ホイールナットを緩める
L型ボックスレンチを使って、ナットを緩めていきます。このときは軽く緩める程度で、ナットを完全に外さないようにしましょう。なぜなら、ジャッキアップ時にタイヤが外れてしまう可能性があるからです。
ホイールカバーが装着されているタイヤの場合は、タイヤとホイールカバーの間にマイナスドライバー(専用工具はホイールキャップレンチ)などを差し込んで、テコの原理で外します。できれば、工具に布などを当てるとホイールカバーに傷がついてしまうのを防げます。
ジャッキアップしてタイヤを外す
ジャッキ用補助工具を使ってタイヤが地面から完全に離れるまでジャッキアップします。作業がしやすいように、タイヤと地面の間に手が入るくらいまで車体を持ち上げると良いです。
そうしたら、緩めたナットをすべて外し、タイヤをとります。暗いところで作業をする場合、ナットをなくしてしまいやすいため、ホイールキャップの上などわかりやすいところに置いておきましょう。
正しくスペアタイヤを装着し、ナットを仮止めする
スペアタイヤをネジ穴の上のほうから合わせながら正しく差し込みます。次にホールナットを軽く締めます。この際、下の方のネジ穴から始め、対角線の順で締めていくのがポイントです。これは、片側だけが締まりすぎてタイヤが曲がって装着されてしまうのを防ぐためです。
ジャッキを下ろして、ナットを完全に締める
ナットの仮止め後、ジャッキをタイヤが地面につくところまで下ろします。ここで車体を完全に下ろしてしまうと、ナットが外れたり、きちんと締めれなかったりします。仮止めしたときと同じ順にナットを固く締めます。女性の場合は、レンチに体重をかけると、しっかりナットを締めることができます。締め終わったら、車体を完全に下げ、ジャッキを外します。
最後にタイヤ止めを外します。タイヤ止めは作業中目に入らないところにあるため、外すのを忘れてしまいがちです。そのままだと危険ですから、作業が終わったら工具がそろっているか確認をしましょう。
スペアタイヤの注意点
これで、タイヤ交換の手順は終わりです。ただし、覚えておかなければいけないことは、「スペアタイヤは緊急用の一時的に使うタイヤである」ということです。ですから、長距離を走るためのものではありません。
また、スペアタイヤを着けている場合は、80km/h未満で走行しなければいけません。スペアタイヤで高速走行するとパンクしてしまう可能性があり危険です。したがって、カーショップなどで早めに通常のタイヤへ履き替える必要があります。
まとめ
ここまでの説明で、タイヤ交換の手順と注意点について理解できたのではないでしょうか。
タイヤ交換は正しい手順で行うことが大切です。間違った方法でタイヤ交換をすると、車体が動いてしまったり、ジャッキが外れてしまったりして大変に危険です。正しく装着していなければ、走行中のトラブルにもつながります。
ですから、ここで説明した手順と注意点をきちんと理解した上でタイヤ交換を行ってください。そうすれば、毎シーズンのスタッドレスタイヤへの交換を自分で行うこができます。覚えておけばとても便利ですから、ぜひチャレンジしてみましょう。